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半導体メーカーの決算資料に「歩留まり改善」と出てくる。でも、何が何に対して良くなったのか、数字の分母はどこなのか。製品の不良率と同じように読んでよいのか、少し立ち止まりたくなります。
歩留まりは、工程を通ったもののうち良品として残った割合を表す言葉です。ただし半導体では、ウェハ単位なのか、ウェハ上のチップ単位なのかで指す範囲が変わります。ニュースを読む時は、指標の名前と測定段階をセットで確認しましょう。
歩留まりは投入した量に対して良品がどれだけ残るか
一般的な製造業でいう歩留まりは、材料や投入量のうち製品として出荷できた量の割合です。三菱電機の用語解説も、不良品の量が歩留まりに大きく影響すると説明しています。半導体の記事でも「高いほど良品の割合が多い」という入口を押さえると読みやすくなります。(三菱電機FA・歩留まり)
ただし「歩留まり90%」だけでは、何を分母にした90%かはわかりません。ウェハ枚数なのか、チップの数なのか、特定工程を通った数なのか。割合の前後に書かれた工程名を探します。
ウェハ歩留まりとチップ歩留まりは数える単位が違う
JEITA半導体用語集は、工程歩留まりを投入ウェハ枚数に対する完成良品ウェハ枚数の比率、チップ歩留まりを1ウェハ上のチップ収量に対するテスト後の良品数の比率として整理しています。同じ「歩留まり」でも、数える単位がウェハかチップかで別の指標です。(JEITA半導体用語集・歩留り)
記事に「ウェハ歩留まり」とあればウェハが工程を通過した割合、「チップ歩留まり」とあればチップの良品数を見ている可能性があります。文書ごとに定義の置き方があるため、略称だけで決めず、資料内の定義欄や脚注に戻って確認しましょう。
数値を比較する時は分母と測定段階をそろえる
「A社は90%、B社は95%」という数字だけ並べても、同じ比較とは限りません。投入ウェハ数を分母にしたのか、テスト対象チップ数を分母にしたのか。工程の入口と出口が違えば、数字が大きい方を単純に優れていると結論づけられません。まず資料の「対象」「算出式」「測定時点」を探します。
報道で定義が省略されている時は、「半導体全体の歩留まり」と読み替えないこと。企業の説明資料や決算資料へ戻り、その数字がどの製品・工程・期間を指すのかを確認します。比較できる条件が見つからなければ、判断保留にするのが正確です。
歩留まりは不良率と関係するが同じ表示ではない
良品の割合が上がれば、不良によるロスが減る方向に働きます。その意味で歩留まりと不良率は関係しますが、資料が「不良率」と書いた時に自動で100%から引いて歩留まりへ置き換えるのは避けましょう。対象工程や除外条件が異なれば、単純な補数にならない場合があります。(三菱電機FA・歩留まりの解説)
数字を読むメモには、「資料の用語」「分母」「工程」「期間」を一行ずつ残すと便利です。特に改善率や初期歩留まりが出た時は、前回値と同じ条件で計算したかも確かめます。改善の言葉だけを見て、生産量や利益が同じ比率で変わると決めつけないこと。
ニュースの先を学ぶなら製造フローと一緒に読む
歩留まりの数字だけ追うと、なぜ変化したのかを理解する材料が足りません。製造工程のどこを指すのか、検査がいつ行われるのか、前工程から後工程へ何を渡すのかを合わせて見ると、数字の位置がつかめます。(JEITA半導体用語集)
工程の全体像を図で学び直したい人向けに、楽天ブックス掲載の「図解入門 最新よくわかる半導体プロセスの基本と仕組み 第4版」があります。前工程・後工程を含む本ですが、購入は必須ではありません。まずはJEITAなどの用語集で単語を引き、必要な章だけ参考書で補う読み方でも十分です。(楽天ブックス・書籍情報)
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