シリコンウェハの作り方は?CZ法で約1420℃の融液から単結晶を引き上げ、厚さ1mmに切り鏡面に磨く流れと300mmが主流の理由

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半導体の話題でよく耳にする「シリコンウェハ」。銀色に光る薄い円板の写真を見たことがある人は多いと思いますが、それがどうやって作られているのかまでは、意外と知られていないかもしれません。

シリコンウェハの多くは、「CZ法(チョクラルスキー法)」という方法で作った大きな結晶の塊を、薄く切って磨いたものです。この記事では、原料から完成までの流れを順に紹介します。

工程の名前は少し難しく感じるかもしれませんが、「溶かして、引き上げて、切って、磨く」という大きな流れを押さえておけば大丈夫です。順番に見ていきましょう。

目次

シリコンウェハとは?何からできている?

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まずは、シリコンウェハがどんなもので、何を原料にしているのかを確認しておきます。作り方の話に入る前に、完成品の姿を思い浮かべておきましょう。

半導体チップの土台になる薄い円板

シリコンウェハは、高純度のシリコン(ケイ素)でできた薄い円板です。日本語版Wikipediaでは、シリコンのインゴット(結晶の塊)を厚さ1mm程度に切断して作られると説明されていました。表記は「ウェハ」「ウェハー」「ウェーハ」「ウエハー」などメーカーや資料によって揺れがありますが、どれも同じものを指しています。

信越半導体の白河工場の公式サイトでは、シリコンウエハーを「半導体の基板となるもの」と紹介しています。基板とは、その上に回路を作り込むための土台のことです。ウェハの表面に不純物を入れたり、絶縁膜や配線を作ったりすることで、トランジスタなどの半導体素子が形づくられていきます。

SUMCOのグループ会社であるSUMCO TECHXIVの公式サイトのQ&Aでも、シリコンウェーハは電子機器の頭脳ともいえる「半導体デバイス」の大切な基板材料だと説明されていました。特定の機能に特化したダイオードやトランジスタなどの個別半導体から、数センチ角の中に何百万、何千万もの素子を組み合わせた集積回路まで、そのほとんどがシリコンウェーハから作られているそうです。

完成したウェハは、半導体メーカーに出荷されます。信越半導体の説明では、最終洗浄したシリコンウエハーは厳重に密封して半導体メーカーに出荷され、ICや超LSIなどの集積回路、トランジスタやダイオードなどの個別半導体の製造に使われるとされていました。つまり、ウェハメーカーが作るのは回路のない「まっさらな円板」で、回路を作るのはその後の工程です。

では、なぜシリコンが使われているのでしょうか。SUMCO TECHXIVのQ&Aでは、主な理由として4つを挙げています。地球で2番目に多い元素で資源が豊富であること、不純物を取り除きやすく高純度にしやすいこと、単結晶にして不純物の量を調整することで抵抗率を制御しやすいこと、そして安定した酸化膜ができて集積化などの加工がしやすいことです。

同じQ&Aでは、名前の似た「シリコーン」との違いにも触れていました。ウェーハに使われるシリコンは、ほぼ純粋な結晶です。一方のシリコーンは、ケイ石を原料にした合成樹脂で、シャンプーやゴム、化粧品などに使われています。もとの原料は同じでも、まったく別のものだと考えてよいでしょう。

原料はケイ石、イレブンナインまで高める

シリコンウェハの原料は、身近な石です。信越半導体の公式サイトによると、地球上に存在する元素で最も多いのは約50%を占める酸素、2番目が約26%のケイ素です。ケイ素は酸素と結びついた二酸化ケイ素の形でケイ石として天然に存在し、その中でも純度の高いものがウェハの原料になります。

SUMCO TECHXIVのQ&Aでも、私たちの足元にある土や砂、石の主な成分がシリコンだと説明されていました。シリコンは酸素と非常に結びつきやすいため、大部分が酸化して白っぽいケイ石の形で存在しているそうです。

ケイ石から純粋なシリコンを取り出すには、いくつもの段階を踏みます。信越半導体の説明では、まずケイ石を炭素と一緒に電気炉で溶かして酸素を取り除き、金属シリコンを作ります。この段階の純度は約98%で、ウェハの原料としてはまだ不純物が多く、使うことはできません。

次に、金属シリコンを細かい粉にして塩化水素と反応させ、トリクロロシランという液体を作ります。これを蒸留して、極限まで精製するのです。日本語版Wikipediaによると、この過程で金属の不純物は塩化物として蒸発させて分離され、1ppba(原子の数で10億分の1)以下まで取り除かれるとされていました。

精製したトリクロロシランを超高純度の水素と反応させると、多結晶シリコンができます。多結晶とは、小さな結晶がたくさん集まった状態のことです。信越半導体によると、でき上がった多結晶シリコンの純度は99.999999999%で、9が11個並ぶことから「イレブン・ナイン」と呼ばれています。

SUMCOの公式サイトでも、ウェハの材料となる単結晶インゴットは、金属不純物の濃度がppb以下(1ppbは10億分の1)に高純度化された多結晶シリコンを原料にしていると説明されていました。

ただし、多結晶のままでは、原子の並び方がばらばらで半導体の基板には向きません。そこで次の工程で、原子がきれいに一方向にそろった「単結晶」に作り変えます。ここで登場するのが、CZ法です。

原料のケイ石がどこから来るのかについても、日本語版Wikipediaに記述がありました。ノルウェーやブラジルで産出した比較的純度の高い石英を還元して、純度98%程度の金属シリコンを作るそうです。信越半導体の公式サイトでは、この還元の反応を、二酸化ケイ素と2つの炭素からシリコンと一酸化炭素ができる化学式で示していました。多結晶シリコンを取り出す段階について、日本語版Wikipediaは、トリクロロシランと高純度の水素をCVD装置の中に入れて単体のシリコンを析出させ、高純度の多結晶シリコンの棒を得ると説明しています。

CZ法とは?単結晶インゴットの作り方

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ここからは、シリコンウェハの材料となる単結晶インゴットを作るCZ法について見ていきます。方法の由来と、実際の引き上げの流れを順番に確認しましょう。

チョクラルスキーが見つけた結晶の育て方

CZ法の「CZ」は、この方法を考えたポーランドの科学者ヤン・チョクラルスキーの名前に由来します。英語では「Czochralski method」と書き、その頭文字をとってCZ法やCz法と呼ばれています。

英語版Wikipediaによると、チョクラルスキーはドイツのAEG社で金属の結晶化の速さを調べていた際に、この方法を見つけました。きっかけは偶然だったといわれています。インク壺にペンを浸すつもりが、溶けたスズにペンを浸してしまい、引き上げたスズの細い糸が、のちに単結晶だと分かったという話が紹介されていました。

見つけた年については、資料によって1915年と1916年の2つの記述があります。英語版Wikipediaでも冒頭では1915年、歴史の節では1916年と書かれていて、日本語版Wikipediaは1916年としていました。方法は1918年に報告されたとされています。

その後、この方法は少しずつ改良されていきました。英語版Wikipediaによると、1937年にはアメリカのベル研究所で、結晶を回転させて温度のかたよりを打ち消す工夫や、ガスの流れで冷え方を調整する仕組みが取り入れられ、今のCZ法の土台ができたとされています。

半導体に使われるようになったのは、第二次世界大戦の後です。ベル研究所のゴードン・ティールがこの方法を再び取り上げ、1950年代初めにトランジスタ向けの高品質なゲルマニウムの結晶を育て、まもなくシリコンの結晶も作られるようになりました。英語版Wikipediaでは、日本でこの方法が使われ始めたのは1959年で、1960年代に応用と改良が進んだと紹介されています。

CZ法は、半導体だけに使われる方法ではありません。英語版Wikipediaによると、ゲルマニウムやガリウムヒ素といったほかの半導体、白金や銀、金などの金属、人工の宝石の結晶づくりにも使われています。今日の半導体デバイスのおよそ90%が、この方法で作った材料に由来するとも書かれていました。

100年以上前の偶然から生まれた方法が、今も半導体の土台を支えていると思うと、少し不思議な気持ちになるのではないでしょうか。

約1420℃の融液から種結晶で引き上げる

CZ法の流れは、SUMCOの公式サイトで分かりやすく紹介されています。まず、高純度の多結晶シリコンを、ホウ素(B)やリン(P)とともに石英のルツボ(るつぼ)に入れて、約1420℃で溶かします。SUMCOによると、ここで加える微量のホウ素やリンが、完成する半導体の電気抵抗を調整し、その特性を決めるそうです。

信越半導体の説明では、加える不純物はドープ剤と呼ばれ、その種類によってP型とN型を分け、加える量で抵抗率を制御するとされています。P型にはボロン(ホウ素)、N型にはリンやアンチモン、ヒ素が使われると書かれていました。

溶けたシリコンの液面に、種結晶と呼ばれる小さなシリコンの単結晶をつけ、回転させながらゆっくり引き上げます。SUMCOによると、こうすることで、種結晶と同じ原子配列をした単結晶インゴットができ上がるのです。

日本語版Wikipediaでは、もう少し詳しく説明されていました。ルツボは不活性ガスで満たされた炉の中に入れられ、周りからカーボンヒーターで加熱される仕組みです。ピアノ線でつるされた種結晶を液面の中心に接触させると、少し冷やされたシリコンが固体となって析出し、種結晶の原子の並びを引き継ぎながら成長していくのです。

インゴットの太さは、引き上げる速さと温度で調整します。日本語版Wikipediaによると、引き上げ速度を少し上げたり、溶けたシリコンの温度を少し上げたりすると結晶の直径が細くなり、その逆にすると太くなるそうです。信越半導体の公式サイトでも、温度や引き上げ速度を調整することで直径を制御すると説明されていました。

でき上がるインゴットは、とても大きなものです。信越化学工業の公式サイトでは、直径約30cm、長さ約1mという大きな単結晶を作ることができると紹介しています。日本語版Wikipediaには、直径300mmのインゴットは重さ350kgにもなると書かれていました。

作り終えたあとの石英のルツボは、英語版Wikipediaによると、ふつうはインゴット1本を作るごとに捨てられます。高温で溶けたシリコンに触れ続けたルツボは、くり返し使うのが難しいということでしょう。

品質を左右する引き上げの工夫

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CZ法の流れは単純に見えますが、きれいな単結晶を作るには細かな工夫が欠かせません。ここでは、結晶の乱れを防ぐ方法と、酸素の問題への対策を見ていきます。

ネッキングで結晶の乱れを取り除く

単結晶とは、原子が一方向に規則正しく並んだ結晶です。信越半導体の公式サイトでは、CZ法によって、方位が一定で乱れのない「無転位」の単結晶シリコンのインゴットが得られると説明されていました。転位とは、原子の並びがずれている部分のことです。

ところが、種結晶にも転位が含まれている可能性があります。日本語版Wikipediaによると、種結晶はそれまでに作ったシリコン単結晶の残りを使うため、内部に原子配列の乱れが残っていることがあるそうです。そのまま引き上げると、その乱れが下に育つ結晶へ引き継がれてしまいます。

そこで行われるのが、「種しぼり」とも呼ばれるネッキングです。日本語版Wikipediaの説明では、引き上げの最初に、結晶を意図的に3〜5mm程度まで細くした部分を作ります。こうすると、種結晶に転位があっても、熱の働きで転位が上のほうへ抜けていき、その下に育つ結晶は無転位になるとされていました。

ネッキングを終えたら、ルツボの温度を下げて、溶けたシリコンをわずかに冷やし気味の状態にします。そのうえで、目標の直径になるように、温度、引き上げ速度、回転数を調整しながらゆっくり引き上げていきます。

日本語版Wikipediaでは、結晶を育てる工程の大まかな流れを次のように並べていました。シリコンを溶かし、種結晶から成長させ、ネッキングで無転位にし、直径を制御して太らせ、同じ太さの胴の部分を作ります。最後にボトムと呼ばれる下の端を作って融液から切り離し、冷やしてから、方位や直径の加工、ブロックの切り出しに進む、という順番でした。

結晶の向きも、種結晶で決まります。日本語版Wikipediaのチョクラルスキー法の記事によると、インゴットの結晶面は種結晶の方向によって決まり、その後のエッチングの工程にも影響するそうです。量産の半導体に使われる大口径ウェハは「[100]方位」と呼ばれる向きのものが中心で、すべてCZ法で作られていると説明されていました。

ほんの数mmの細い首を作るひと手間が、何百kgにもなるインゴット全体の品質を左右するというのは、興味深いところです。

太さを一定に保つ仕組みも、時代とともに進んできました。英語版Wikipediaによると、1972年から1973年にかけて、育っている結晶やルツボの重さを量って直径を自動で制御する方法が取り入れられ、結晶の寸法をより正確に調整できるようになったそうです。同じ記事では、温度の分布、引き上げの速さ、回転の速さを精密に制御することで、溶けたシリコンから円柱状の大きな単結晶を取り出せると説明されていました。

酸素の混入とMCZ法、FZ法との違い

CZ法には、避けられない課題があります。石英のルツボから、酸素がシリコンに溶け込んでしまうことです。石英は二酸化ケイ素でできているため、高温のシリコンに触れると、ルツボの表面から酸素が溶け出します。

信越半導体の公式サイトでも、CZ法で使う石英ルツボは酸素を含むため、微量の酸素が単結晶シリコンの中に入り込むと説明されていました。ICを作る際には、この酸素の濃度がきわめて重要だそうです。白河工場では、酸素濃度や導電型、抵抗率をきめ細かくコントロールしていると紹介されています。

日本語版Wikipediaによると、溶け込んだ酸素の多くは一酸化ケイ素のガスになって蒸発しますが、炉の壁などについて微粒子となり、再び液面に落ちると結晶の乱れの原因になります。そこで、炉の上からアルゴンガスを流し、真空ポンプで吸い出して取り除いているそうです。このガスの流れは、ヒーターの黒鉛と反応してできる一酸化炭素などを追い出す役割も担っています。

さらに、液の中の対流をおさえる方法もあります。それが、SUMCOの公式サイトで紹介されているMCZ法です。CZ法に強い磁場をかける方法で、日本語版Wikipediaでは、超伝導電磁石で炉の中に磁場をかけ、溶けたシリコンの対流をおさえて、ルツボの壁から結晶に運ばれる酸素を減らすと説明されていました。

ルツボそのものを使わない方法もあります。SUMCOによると、FZ法(フローティングゾーン法)は、石英ルツボを使わないことで酸素濃度の低い単結晶インゴットを育てられる方法です。日本語版Wikipediaでは、多結晶シリコンの棒を部分的に溶かしながら単結晶にする方法で、成長の方向の不純物の分布が一定で、酸素濃度が非常に少ないという利点があると書かれていました。

それでも、量産で中心になっているのはCZ法です。日本語版Wikipediaによると、CZ法は大口径の単結晶を作りやすいことが強みです。一方で、結晶の成長方向に沿って抵抗率が変わりやすいため、パワーデバイスにはあまり使われないとも書かれていました。

実は、酸素には良い面もあります。日本語版Wikipediaのチョクラルスキー法の記事では、混入した酸素が微量の金属を固定する働きをもつことが紹介されていました。混ざってしまうものをうまく生かすという考え方も、ウェハづくりの奥深さを感じさせます。

インゴットがウェハになるまで

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引き上げた単結晶インゴットは、そのままではまだウェハではありません。ここからは、切り出して磨き、出荷できる状態にするまでの加工の流れを見ていきます。

外周研削と方位加工、スライス

最初に行うのは、インゴットの形を整える作業です。日本語版Wikipediaによると、インゴットの両端を切り落とし、外周を削って決まった直径にそろえたうえで、長いものは適切な長さに切り分けて、長さ30〜50cmほどの円柱状の「ブロック」を作ります。SUMCOの公式サイトでも、単結晶インゴットを直径が均一になるように外周研削すると説明されていました。

次に、結晶の向きが分かる目印をつけます。日本語版Wikipediaでは、X線で結晶方位を測り、後の工程で向きが分かるように「オリエンテーションフラット」と呼ばれる平らな切り欠き、または「ノッチ」と呼ばれる小さな切り込みを刻むと説明されていました。

英語版Wikipediaによると、直径200mm未満のウェハには、結晶面を示すフラットが入れられます。古い世代のウェハでは、2つのフラットの角度の組み合わせで、P型かN型かまで表していたそうです。直径200mm以上のウェハでは小さなノッチひとつで向きを示し、導電型を見た目で表すことはしないと書かれていました。

形を整えたブロックを、いよいよ薄く切ります。SUMCOによると、希望する抵抗率に応じて、内周刃切断機またはワイヤーソーを使い、厚さ1mm程度にスライスしてウェハ状にします。信越半導体の公式サイトでも、ワイヤーソーで1mmほどの厚さに切り出すと説明されていて、この状態のウェハは「アズカットウエハー」と呼ばれるそうです。

ワイヤーソーは、細い金属の線を使った切断機です。日本語版Wikipediaによると、直径300mmのブロックは、マルチ・ワイヤーソーによって1度に最大200枚が切断されます。切る前には、ブロックをカーボンの台に接着して固定すると書かれていました。

切り出したばかりのウェハは、切断面が粗く、厚さにもばらつきがあります。信越半導体の説明では、アズカットウエハーの状態ではまだ切断面の粗さや厚さのばらつきが目立つため、ここから何段階もの加工を施して仕上げていくとされていました。

ウェハの完成品の厚さについても触れておきましょう。英語版Wikipediaの表では、典型的な厚さとして、直径300mmのウェハで775µm、200mmで725µmと紹介されています。切断時の約1mmから、研磨などの工程で少しずつ削られていくわけです。

ラッピングから鏡面研磨まで

切り出したウェハは、まず端を整えます。日本語版Wikipediaによると、シリコンは硬くてもろい素材なので、端が切ったままの鋭い状態だと、運んだり位置を合わせたりするときに割れたり欠けたりしやすく、そのかけらが表面を傷つけたり汚したりします。そこで、ダイヤモンドをコーティングした砥石で端を面取りするのです。この工程はベベリングと呼ばれます。

次は、ラッピングと呼ばれる粗研磨です。SUMCOの公式サイトによると、ウェハの両面が平行になるように整えながら、決まった厚さに仕上げるため、アルミナの研磨材で粗研磨します。日本語版Wikipediaでは、上下2枚の定盤の間にウェハとステンレス製のキャリアをはさみ、砥粒を含んだ液を流しながらこすり合わせると説明されていました。

機械で削ったあとの表面には、目に見えない傷みが残ります。SUMCOによると、それまでの機械加工でウェハの表面についたダメージを取り除くために、化学的なエッチングを行います。日本語版Wikipediaでは、フッ酸と硝酸を使う酸性の液と、水酸化カリウムなどを使うアルカリ性の液があり、アルカリ性が主体だと書かれていました。

CZ法ならではの工程もあります。日本語版Wikipediaによると、ルツボから溶け込んだ酸素は高温で集まって「ドナー」となり、狙った抵抗値からずれる原因になります。これを散らすために、不活性ガスの中で600〜700℃に短時間加熱する「ドナーキラーアニーリング」という熱処理を行うそうです。

最後の仕上げが、鏡面研磨(ポリッシング)です。SUMCOによると、表面の凹凸をなくして平坦度の高い鏡面に仕上げるため、コロイダルシリカ液を使ったメカノケミカル研磨が施されます。機械的に磨く力と、化学的に溶かす力を同時に使う方法です。信越半導体の公式サイトでも、きわめて粒子の細かい研磨剤を含んだ液で、何段階にも分けて鏡面に磨き上げると説明されていました。

日本語版Wikipediaによると、直径200mmまでのウェハは多くが片面だけを鏡面に磨くのに対し、300mmのウェハでは、裏面も表面の80〜100%程度の精度まで磨く国際標準になっているそうです。こうした工程を経て、キズやゆがみのない鏡面をもつ「ポリッシュドウエハー」ができ上がります。

洗浄と検査を経て出荷へ

磨き終えたウェハは、汚れを落としてから検査されます。SUMCOの公式サイトでは、洗浄ののち、厳しい検査を経てポリッシュト・ウェーハが完成すると説明されていました。

洗浄の方法については、日本語版Wikipediaが詳しく紹介しています。基本になっているのは、アメリカのRCA社で開発された「RCA洗浄法」という化学的な洗浄法です。この方法では2段階の洗浄を行います。

1段階目のSC1は、水5に対して過酸化水素1と水酸化アンモニウム1を混ぜたアルカリ性の液で、有機物の汚れを取り除きます。2段階目のSC2は、水5に対して塩酸1と過酸化水素1を混ぜた酸性の液で、アルカリイオンやアルミニウム、鉄などの陽イオンを取り除くと説明されていました。工程の合間にも、汚れを取り除くためにRCA洗浄をもとにした洗浄が行われているそうです。

洗浄に使うものの純度も大切です。信越半導体の公式サイトでは、シリコンウエハーの製造には、使う薬品や水などの純度が重要で、エレクトロニクス・グレードの薬品や超々高純度の純水を使っていると紹介されていました。「ソリ」「平坦度」「キズ」「汚れ」といった表面の精度は、切断、研磨、洗浄などの加工工程で決まるそうです。

検査では、結晶と見た目の両方が確かめられます。日本語版Wikipediaによると、結晶の検査では、結晶方位、導電型、抵抗率、結晶欠陥、炭素と酸素の濃度を調べます。見た目の検査では、反り、平坦度、汚れ、傷を確認すると書かれていました。

出荷の仕方にも、決まりがあります。信越半導体の説明では、最終洗浄したウェハは厳重に密封して半導体メーカーに出荷されます。日本語版Wikipediaによると、以前はウェハを入れる容器の種類が多かったものの、FOUPという国際規格が作られてからは、共通の容器で扱えるようになったそうです。

SUMCOの公式サイトでは、ウェハの製造は大きく「単結晶引上工程」「ウェーハ加工工程」「特殊加工工程」の3つに分けられ、すべての工程をクリーンルームの中で行っていると紹介されていました。わずかなちりも嫌うウェハづくりは、最初から最後まで、清浄な環境の中で進められているのです。

ウェハのサイズと種類の違い

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最後に、ウェハの大きさがどう変わってきたのかと、用途に合わせて加工されたウェハの種類を見ていきます。

直径300mmが主流になった理由

シリコンウェハの大きさは、時代とともに大きくなってきました。英語版Wikipediaによると、ウェハの直径は25.4mm(1インチ)から300mm(約11.8インチ)までさまざまです。初期の結晶は数cmほどの太さしかなく、1956年当時の装置で作られた結晶は直径1インチほどだったと紹介されていました。

大きくなってきた理由は、コストです。日本語版Wikipediaでは、ウェハ1枚あたりから取れるチップの数が多いほど低コスト化につながるため、インゴットの大口径化が進んできたと説明されていました。英語版Wikipediaでも、処理能力を高めてコストを下げるために、直径が少しずつ大きくなってきたと書かれています。

今のウェハの使われ方を、日本語版Wikipediaは次のように紹介しています。MOSデバイスには150mm(6インチ)、200mm(8インチ)、300mm(12インチ)が一般的に使われ、ダイオードなどチップの小さいものには100mmや125mmも使われているそうです。チップの大きいMPUや、大量生産でコストを下げる必要のあるDRAMやフラッシュメモリには大口径のウェハが使われ、300mm化が進んでいると書かれていました。

信越半導体の公式サイトでも、CZ法で作った単結晶シリコンインゴットは、主に直径100〜300mmのウエハーに加工されると説明されています。半導体工場は、扱うウェハの直径によって区別されるほどで、英語版Wikipediaでは、最先端の工場は300mmを使っていると紹介されていました。

さらに大きな450mmのウェハを開発する動きもありました。日本語版Wikipediaによると、半導体メーカー数社によるコンソーシアムも作られた一方で、450mm化しても開発コストを回収できるのかを心配する声もあるそうです。英語版Wikipediaでは、450mmのウェハは作られてはいるものの、まだ一般には使われていないと書かれていました。

ウェハが大きくなるほど、扱いも難しくなります。英語版Wikipediaによると、ウェハは扱っている間に自分の重さで割れないだけの厚さが必要で、重さは厚さと直径の2乗に比例して増えるそうです。300mmのウェハが725µmより厚い775µmになっているのも、この強度の問題と関係していると考えられます。

大きなウェハを作るには、それだけ大きなインゴットを引き上げる必要があります。直径300mmで350kgにもなるインゴットを、乱れなく育てる技術があってこそ、今の300mmウェハが成り立っているといえるでしょう。

エピタキシャルやSOIなど加工したウェハ

鏡面に磨き上げたポリッシュドウェハを、さらに加工したウェハもあります。SUMCOの公式サイトでは、客先の要望に応じてポリッシュト・ウェーハに特殊加工を施し、エピタキシャル・ウェーハ、アニール・ウェーハ、埋込層付エピタキシャル・ウェーハ、SOIウェーハの4つを製造していると紹介していました。

エピタキシャル・ウェーハは、表面に新しい単結晶の膜を育てたウェハです。SUMCOによると、ポリッシュト・ウェーハをエピタキシャル炉の中で約1200℃まで加熱し、炉内に気化した四塩化ケイ素やトリクロロシランを流すことで、表面に単結晶シリコンの膜を気相成長させます。結晶の完全性が求められる場合や、抵抗率の異なる多層構造が必要な場合に向いているそうです。

信越半導体の公式サイトでは、エピタキシャル層の厚さを0.01mm(10µm)ほどと紹介していました。抵抗率の面内の均一性にすぐれ、結晶欠陥がほとんどないことから、ロジックIC、撮像素子、個別半導体などに広く使われているそうです。

アニール・ウェーハは、熱処理で表面を整えたウェハです。SUMCOによると、水素またはアルゴンの雰囲気の中で高温の熱処理を行い、表面の酸素を取り除くことで、結晶の完全性を高めています。日本語版Wikipediaでは、1150〜1200℃程度に加熱すると説明されていました。CZ法で入り込んだ酸素の影響を、表面近くだけ取り除く工夫といえます。

SOIウェーハは、内部に絶縁の層をもつウェハです。SUMCOの説明では、土台となる支持基板と、半導体デバイスを作り込む活性基板の片方または両方に酸化膜を作り、2枚を貼り合わせて熱処理で結合します。その後、活性基板を決まった厚さまで削って磨くのです。電気を通しにくい酸化膜をウェハの中に作ることで、半導体デバイスの高集積化、低消費電力化、高速化、高信頼性を実現しているそうです。

埋込層付エピタキシャル・ウェーハについて、SUMCOは、客先の設計に合わせて露光やイオン注入、熱拡散の技術を使い、表面にあらかじめIC用の埋め込み層を作ってから、エピタキシャル成長させたウェハだと説明しています。

信越化学工業の公式サイトでは、シリコンウエハーのシリーズとして、ラップドウエハー、ポリッシュドウエハー、拡散ウエハー、エピタキシャルウエハー、SOIウエハー、アニールウエハーを挙げていました。用途としては、メモリーやロジック、アナログなどのIC用の基板のほか、イメージセンサー用、ダイオードやトランジスタなどのディスクリート用、センサー用の基板が紹介されています。

まとめ

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シリコンウェハの作り方について、この記事で見てきたポイントを振り返ります。

  1. シリコンウェハは半導体の基板となる薄い円板で、ケイ石から作った純度イレブン・ナインの多結晶シリコンを原料にしている
  2. CZ法では、多結晶シリコンをドープ剤とともに石英ルツボで約1420℃に溶かし、種結晶を回転させながら引き上げて単結晶インゴットを作る
  3. ネッキングで結晶の乱れを取り除き、酸素の混入にはガスの流れやMCZ法で対策し、低酸素が必要な場合はFZ法も使われる
  4. インゴットは外周研削と方位加工のあと厚さ1mm程度に切られ、面取り、ラッピング、エッチング、鏡面研磨、洗浄、検査を経て出荷される
  5. ウェハは大口径化が進んで300mmが主流となり、用途に応じてエピタキシャルやSOIなどの加工ウェハも作られている

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この記事を書いた人

半導体の仕組みや業界、仕事を調べ、初めての方にも伝わる言葉で解説する編集部です。

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