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マイコンやICの電源ピンのすぐそばに、小さなコンデンサが置かれているのを見たことはありませんか。これは「パスコン」と呼ばれる部品です。どうしてICの近くに置くのか、0.1μFや0.01μFといった容量はどう決めるのか。半導体メーカーのロームが公開している技術解説「TechWeb」をもとに整理します。
この記事では、ローム TechWeb「パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や最適容量を解説」(2023年11月9日)、「デカップリングコンデンサの使い方 ポイント1」(2018年5月29日)のローム TechWeb「パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や最適容量を解説」、「デカップリングコンデンサの使い方 ポイント1」をもとに、パスコン(バイパスコンデンサ)について5つのポイントで整理します。後半の、パスコンを基板に置くときの確認手順は、この記事の提案です。
※この記事は、2026年10月時点でローム TechWeb「パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や最適容量を解説」(2023年11月9日)、「デカップリングコンデンサの使い方 ポイント1」(2018年5月29日)に掲載されている内容をもとにしています。この記事は、ローム TechWebの2本の解説記事(2026年10月24日に確認)をもとにしています。容量の数値は解説記事に書かれた目安です。実際の回路では、使うICのデータシートの推奨回路を確かめてください。
パスコンとは?
定義
ロームの解説では、バイパスコンデンサは電源とグラウンド(GND)の間に接続し、ノイズを迂回(バイパス)して逃がす役目をもつコンデンサだと説明されています。
総称
特定の種類のコンデンサを指すのではなく、ノイズをバイパスするために使うコンデンサの総称だとされています。
呼び名
「パスコン」とも呼ばれます。また、直流と交流の両方の成分から、ノイズなどの交流成分を逃がすことから「デカップリングコンデンサ」とも呼ばれると書かれています。
大切さ
パスコンがないと、回路によっては正しく動作しない場合があるほど重要な部品だと説明されています。
パスコン 5つのポイント
1. 電源とGNDの間
ノイズをGNDへ逃がす位置に置きます。
2. 3つの役割
ノイズ対策・電圧安定・電荷の補充です。
3. 電源ピンの近く
離れるとインダクタンスが増えます。
4. 容量は目的で決める
高周波は小容量、安定化は大容量です。
5. 反共振とDCバイアス
組み合わせと電圧に注意します。
5つのポイント早見表
| ポイント | ローム TechWeb「パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や最適容量を解説」(2023年11月9日)、「デカップリングコンデンサの使い方 ポイント1」(2018年5月29日)の案内 |
|---|---|
| 電源とGNDの間 | 接続 |
| 3つの役割 | 役割 |
| 電源ピンの近く | 配置 |
| 容量は目的で決める | 容量 |
| 反共振とDCバイアス | 注意点 |
パスコンの3つの役割
高周波ノイズ対策
電源ラインとGNDのインピーダンスを下げ、電源ラインに入ってくる高周波ノイズをGNDに落として取り除くとされています。
電源電圧の変動を小さくする
パスコンがないと、過渡電流が流れたときに電源ラインの抵抗成分やインダクタンス成分で電圧が変動します。パスコンがあると過渡電流がパスコンから供給されるので、変動を抑えられると説明されています。
ICの補助電源
ICの消費電流が増えたとき、インダクタンスのせいで十分な電流が届かない場合があります。パスコンにたまった電荷を過渡電流として使うことで、不具合を防げるとされています。
容量の限り
ただし、コンデンサがためられる電荷には限りがあるため、補助電源の役割には十分な静電容量が必要だと書かれています。
容量の目安
解説の数字
ロームの解説に書かれた目安をまとめました。
動作周波数から考える
電源ノイズはICの動作周波数(スイッチング動作)で発生するため、その周波数から適切な容量を考えると説明されています。
例
スイッチング電源回路のような低周波ノイズには大容量、数10MHz以上で動作するICの高周波ノイズには数100pF~0.01μF程度の小容量が例に挙げられています。
| 目的 | 容量の目安 |
|---|---|
| 高周波ノイズ対策 | 数100pF~0.01μF程度 |
| 電源電圧の安定化 | 数10μF~数100μF |
| 低周波ノイズ | 10μF以上 |
どこに置く?
電源ピンの近く
高周波ノイズを取り除くには、パスコンをできるだけICの電源ピンに近い位置に配線するとされています。
離れると
ICとコンデンサが離れていると「インダクタンス成分」が大きくなり、ノイズを取り除く効果が十分に得られないと説明されています。
ループを短く
ICの近くに置くとノイズが流れるループが短くなり、放射ノイズの発生を抑える効果もあるとされています。
小さい順に並べる
容量の違うパスコンを複数付けるときは、電源ピン側から容量が小さい順に並べます。例として「電源ピン ← 0.01μF ← 0.1μF ← 1μF」と書かれています。
大容量は少し離れても
静電容量が大きいコンデンサは、電源ピンから離れても距離の影響が小さいとされています。
ESRとESLとは
3つの性質
コンデンサは容量(C)だけでなく、等価直列抵抗(ESR)と等価直列インダクタンス(ESL)を持つと説明されています。
V字の特性
このため、インピーダンスの周波数特性は共振点で折り返すV字型になります。
低いほど
パスコンは、インピーダンスが低いほどノイズ対策の性能が上がるとされています。
複数のパスコンを使うと?
同じ容量を並べる
ロームの「ポイント1」の記事では、22μFのコンデンサを1個、2個、3個と増やした場合の例が示されています。同じ容量を並列に増やすと、全周波数範囲でインピーダンスが下がると説明されています。
理由
並列にした容量は足し算になり、3個なら66μFです。ESRやESLがすべて同じなら、どちらも3分の1になるとされています。
違う容量を混ぜる
22μFに0.1μFと0.01μFを並列に足すと、より高い周波数でのインピーダンスを下げられると説明されています。
理想の図
解説の周波数特性の図は理想的なもので、基板の配線による寄生成分は考えていないと書かれています。実際の対策では寄生成分の影響も考える必要があります。
使うときの注意点
反共振
容量の違うコンデンサを組み合わせると、ある周波数でインピーダンスが逆に高くなる「反共振」が起きることがあります。電源電圧が大きく変わり、ICが誤動作するおそれがあると説明されています。
反共振への対策
組み合わせる容量を変える、パスコンを追加したり削除したりするなどの検討が挙げられています。
DCバイアス特性
セラミックコンデンサに直流電圧を加えると、静電容量が公称値より減る「DCバイアス特性」があります。
耐圧に余裕を
解説では、使う電圧に対して数倍の耐性をもつセラミックコンデンサを選び、容量の減少を抑えることがすすめられています。
データシート
部品によってはデータシートに推奨回路が載っています。そのまま使う場合も、なぜその容量なのかを理解することが大切だとされています。
用語のまとめ
覚え方
解説記事に出てくる言葉を、意味と一緒に一覧にしました。わからない言葉が出てきたら、ここに戻って確かめてください。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| パスコン | バイパスコンデンサの略。ノイズをGNDへ逃がすコンデンサの総称 |
| デカップリングコンデンサ | パスコンの別の呼び名 |
| ESR | 等価直列抵抗。誘電損失や電極の抵抗で決まる |
| ESL | 等価直列インダクタンス。電極が持つインダクタンスで決まる |
| 反共振 | 容量の違うコンデンサの組み合わせで、インピーダンスが高くなる現象 |
| DCバイアス特性 | 直流電圧を加えるとセラミックコンデンサの容量が減る性質 |
電子工作で意識したいこと
回路図を見る
キットや作例の回路図で、ICの電源ピンとGNDの間にコンデンサが描かれていたら、それがパスコンの可能性があります。
省かない
解説でも、パスコンがないと回路によっては正しく動作しない場合があると書かれています。部品が小さいからといって、省かないようにしましょう。
置き場所
基板に部品を並べるときは、ICの電源ピンとの距離を意識して、パスコンの位置を先に決めておくと配線がしやすくなります。
パスコンを基板に置くときの確認手順
ここからは、ローム TechWeb「パスコン(バイパスコンデンサ)とは?役割や最適容量を解説」(2023年11月9日)、「デカップリングコンデンサの使い方 ポイント1」(2018年5月29日)の案内をもとにした、この記事の提案です。
ここで挙げるのは、ロームの解説をもとにした確認手順の例です。
データシート
使うICの推奨回路にパスコンの指定があるか見ます。
目的
高周波対策か、電圧の安定化か、目的を決めます。
配置
電源ピンの近くに、小さい容量から順に置きます。
部品の性質
セラミックならDCバイアス特性と耐圧を確かめます。
よくある質問
パスコンとデカップリングコンデンサは違う?
ロームの解説では、バイパスコンデンサはデカップリングコンデンサとも呼ばれると説明されています。
0.1μFが定番なのはなぜ?
解説では特定の値を定番とはしていません。目的やノイズの周波数、ICの推奨回路で決めます。
大きい容量を一つ付ければいい?
高周波ノイズには小容量のほうがインピーダンスが低く効果的とされています。目的に合わせて組み合わせます。
数を増やせば増やすほどいい?
同じ容量を並べるとインピーダンスは下がりますが、置き場所が大きくなるので、必要な部分に絞るようにと説明されています。
パスコンはどこにつなぐ?
電源とGNDの間です。ICの電源ピンにできるだけ近い位置に置くとされています。
容量の違うものを並べる順番は?
電源ピン側から、容量の小さい順に並べると説明されています。
パスコンは電源ピンの近くに、目的に合った容量で
ロームの解説によると、パスコンは電源とGNDの間に置いてノイズを逃がし、電源電圧を安定させ、ICに電荷を補う部品です。電源ピンの近くに置き、容量は目的とノイズの周波数で選びます。反共振やDCバイアス特性にも注意しながら、まずは使うICのデータシートの推奨回路を確かめてみてください。